第5章・第17話「叫んでも聞こえない」

効果音「ゴゴゴゴゴゴ…ゴゴゴゴゴ…」
風船猫・タマ「ケイン、返事してよ!どうしたの?!」
雪猫・ケイン「…」
ソレイユ「無駄だ…ケインは私が洗脳した…お前の声は聞こえない!」
風船猫・タマ「…!!」
雪猫・ケイン「…パーフェクト・トランスフォーム・ウェポンパワー…ライド・オン!!」
効果音「ズズズズズーーーン!!」
ナレーション「ケインが呪文を唱えると手から青白い光が発射された。そこから白い剣のようなものが出現した。」
雪猫・ケイン「完成…PTW…ザ・ソード・オヴ・アイス(氷雪剣)!!」
ナレーション「ケインはタマをすごい形相で睨みつけていた。そして、氷雪剣の先をタマに向かって突き出していた。」
風船猫・タマ「ケ、ケイン…」
雪猫・ケイン「うおおおおお!」


風猫の長老「で、『忌まわしき腕輪』とはいったい…。」
シグレ(シャーマン)「我が風船猫一族に伝わる曰く付きの腕輪のことでございます…それを危険なものと知りながら、誰も腕輪について触れようとはしませんでした。それが今回のような悲劇を招いてしまったかもしれません…。」
ナレーション「何世紀も前の話である。風船猫一族の先祖である一人の男が魔物と戦った時の話だった。その魔物は強力な魔力の持ち主である彼ですら歯が立たなかった。その時、彼はある手段を実行したそうである。」
シグレ(シャーマン)「長老もご存知と思うが、シンボルストーンを武器などに具現化する技、PTのことです。そのPTの中でも禁忌の技というものがございます…。」
風猫の長老「…??」
シグレ(シャーマン)「「『禁忌の技』と言われるPTによって彼はようやく魔物を封じることが出来ました。彼のシンボルストーンを魔物を封印する2つの腕輪にかえる事によって。だが、彼はその代償に自らの体を失ってしまいました。」
ナレーション「その男が魔物を倒した伝説はいつしか風船猫一族の知れるところになり、2つの腕輪は村の秘宝として崇められるようになった。」

風猫の長老「で、その腕輪と先日の事件と何の関係が…」
シグレ(シャーマン)「…」
ナレーション「シグレは震えながら床を見つめていた。長老はシグレの言わんとしていることがただ事でない事だけはハッキリ分かった。だが、これ以上聞く事が出来なかった。彼女はようやく意を決したように顔を上げた。」
シグレ(シャーマン)「十数年前、一人の少女がこの世に生を受けました。我が村では彼女の誕生をとても喜んでいました…しかし…。」
ナレーション「その少女はとても強力な魔力の持ち主であった。もちろん、シンボルストーンを体から出すことも造作もないことだった。だが、彼女は魔力が強力だったばかりにそれを制御する力が足りなかったのである。」
シグレ(シャーマン)「…少女の母親は彼女が生まれてすぐに亡くなりました…彼女は情緒不安定なところもあり、魔力を抑え切れないところがあったのです…私たちは彼女にそれを制御する術を身につけさせようとしましたが…。」

ナレーション「少女が感情を爆発させるたびにシンボルストーンは暴走した。そして、ある日、とうとう怪我人が出てしまった。これを危惧した村人達は少女の手首にその腕輪をはめさせ、暗い牢の中に閉じ込めてしまった。」
風猫の長老「…。」
ナレーション「最初、その腕輪の強力な魔力によって少女の感情を制御していた。だが、次第に少女の力が腕輪のそれを上回るようになり、彼女が腕輪を外そうとすると拒否反応を起こすようになった。少女が魔法で腕輪を外そうとすると激しい痛みが彼女に襲うようになった。」
シグレ(シャーマン)「だが、それも限界が来ていました…その娘の父親は村の幹部達に娘を外に出してほしいと必死に説得していました…。」
風猫の長老「父親…?」
シグレ(シャーマン)「その娘の父親は彼女に腕輪をつけることも牢に閉じ込めることも必死に反対していました…だが、上のものには逆らえず泣く泣く承諾していたしだいです…彼の説得がようやく実って僅か3日後のことでした…あの悲劇が起こったのです…」
風猫の長老「シグレ殿…それは…まさか…?!」


風船猫・タマ「先生ーーーっ!!」
効果音「シュウウウウウ…ゴオオオオ…!!」
ネミミ(タマの恩師)「…皆さん、タマをよろしくお願いします…」

シグレ(シャーマン)「娘を牢から出すと約束したその日、その父親は一人の子どもが消滅するのを阻止するために自ら禁断の魔法を使い、消滅しました…。」
ナレーション「シグレはうつむいたままこぶしを震わせていた。シグレのもっている数珠がぶるぶると彼女の感情に呼応していた。」
シグレ(シャーマン)「その腕輪をつけた少女の父親がタマの師匠でもあったネミミです!私たちは結果的に3人の人間を不幸にしてしまった!!」


風船猫・タマ「ぎゃああああああ!!」
効果音「ドオオオーーーーン…!!ダーン!!」
ナレーション「タマはケインの攻撃を一方的に受けるばかりだった。ケインは氷雪剣から氷の塊を一気に放出させ、タマに攻撃を出させるすきを与えなかった。」
風船猫・タマ「(…PTを出す余裕もない!このままじゃ、ケインの攻撃をまともに受けてしまう!)」
雪猫・ケイン「エッジ・オブ・ブリザード!!」
効果音「バリバリバリバリ!!」
風船猫・タマ「…ぐあっ!!」
ナレーション「逃げるので精一杯だったタマはそのまま転倒した。起き上がろうとした瞬間、氷雪剣の先がタマの目の前に突き刺さった。」

効果音「ジャキン!!ドスッ!!」
雪猫・ケイン「…」
風船猫・タマ「(…も、もうだめだ…)」
ナレーション「ケインはタマの上に馬乗り状態で、タマの頭上に剣を持ち上げた。タマは観念したように目を閉じた。遺跡の上ではソレイユが笑みを浮かべていた。」


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