第4章・第13話「天国への階段」

効果音「ズズズズズズ…ズズズズズーーーン…」
ナレーション「タマは一生懸命、念じた。タマの手から白い光がこぼれ、その中から何かが現れようとしていた」
風船猫・タマ「(これが永遠の別れじゃない)」
ナレーション「タマの頭の中に直接流れ込んでくる映像はミヨの生前の記憶だった。途切れ途切れに、だが鮮明な映像はミヨの本心を物語っている。タマはもう判ってしまった。ミヨの苦しみ…ミヨの正体を。」

ミヨ(ギンの姪)「(私は生きるべきだった。絶望せず、死を乗り越えて違う人に出会える可能性があったかもしれない。だけど私はその可能性を放棄した…亡くなった彼の願いを叶える事が私を人柱にさせたのよ)」
風船猫・タマ「誰だって強くない、僕だって弱いんだ…自分を責めないでほしい)」
ミヨ(ギンの姪)「(誰でも?)」
ナレーション「ミヨが見つめるとタマは涙をこらえるぎりぎりの笑顔で精一杯ミヨに言う。」
風船猫・タマ「強がってたって…サンダーも、レスも、僕も…もしかしたら十文字さん、ギンさんも。みんな弱いから人の痛みがわかるんだ。」
ナレーション「綺麗事だと、青臭いと、誰かはタマを笑うかもしれない。だけど弱いから、支えあって強くなれる。きっとそれは一番の宝物だろう。」
ミヨ(ギンの姪)「(…ありがとう…)」
ナレーション「タマの手の中の光はやがて具体的な形になって彼の両手に握られた。」
風船猫・タマ「完成、パーフェクト・トランスフォーム・ウェポン、エアー・バズーカ!!」


ギン(十文字の元上司)「(空を見上げている)ミヨ…」
ナレーション「ギン達が見える空の向こうは雲間から光が指していた。いつの間にか嵐は止み、森は静けさを取り戻していた。」

効果音「ギギギギギギ…」
ナレーション「タマはバズーカーを上に向けて構えた。不思議と重さは感じない。そして、空に向かってこう叫んだのだった。」
風船猫・タマ「我が、シンボルストーンよ、天国への道標を示せ!!」
ナレーション「タマが叫ぶとバズーカーについていたシンボルストーンが輝きだした。そして、バズーカーから大きな光の塊が発射された。」
効果音「ドオオオオン!!」
透明猫・レス「あの光は…?!」
ナレーション「地を揺さぶるような轟音と光。タマの涙。ミヨの微笑み…そして…」
ギン(十文字の元上司)「ミヨ!!」
効果音「バーーーーン!!」
ナレーション「空はガラスのような音を立てて割れた。そして、まばゆい光がミヨの下に差し込んできた。見上げると長い階段が天まで続いていた。」
風船猫・タマ「…この階段を上ると天国まで行けるよ…今まで、ありがとう…僕、ミヨさんに会えて本当に良かった…」


ナレーション「ミヨの胸の杭は消え、胸から流れていた血も止まっていた。ミヨは天国への階段に向かって歩き出した。」
ミヨ(ギンの姪)「振り返りながら(誰かに『会えてよかった』って言葉がたくさんいえたらいいね)
」 風船猫・タマ「僕は…みんなに好かれようとは思わない。それでも相手を好きになる可能性は信じたい。これから先だって…ずっと…ミヨさんのことも大好きだよ」
ナレーション「涙を手で拭いて、赤く目を腫らした顔で本心を言うのは照れくさいけど、タマの中ではミヨは友達になった1人だ。これからもこの先も忘れることはない。」
ミヨ(ギンの姪)「(…私も好きだよ…ギン兄さんも、サンダーさんも、レスさんも、十文字さんも…タマさんも)」
ナレーション「徐々に姿が変化してミヨは大人の姿になる。雲が彼女を包み隠し、天国の階段は地上からゆっくり消えていく。」
風船猫・タマ「…(力を使い果たしてその場に倒れる)」
効果音「ドサッ」
ナレーション「草むらの中で目を閉じて、気持ちよさそうにタマは眠りに入った。」
効果音「ビュウウウ…」

透明猫・レス「…タマ?タマ!?タマ!!」
風船猫・タマ「…ここは…?」
ナレーション「タマが目を覚ますと、レスたちが居た。レスは必死にタマの肩を揺さぶって起こそうとしていた。」
風船猫・タマ「レス…目が赤いよ…」

ナレーション「暖かい風が吹いていた。嵐があったとは思えないほど爽やかな空の下で。朝日を浴びながらタマは起き上がる。」
透明猫・レス「…タマだって赤いぞ」
ギン(十文字の元上司)「よくやってくれた…本当に…よく…っ(声がつまる)」
十文字「ミヨさんの魂は浄化されて天国にいきました…タマさんのおかげです。」
雷猫・サンダー「あっという間だったな。あまり話せなかった…」
風船猫・タマ「…(天を見上げる)」

ナレーション「天国の話をいつだったのか、ネミミ先生が話してくれたことがある。心の綺麗な人が選ばれて神様が天に上げてしまう話。タマは何度かその話を聞いて天国という場所を想像した。」
風船猫・タマ「十文字さん、おなかすいちゃった!」
ナレーション「一度見上げた空を振り返ることなく、タマはいつもの調子で空腹をもらす。その場にいた全員が笑い、タマもつられて笑い出す。今のタマにはやっぱり天国がどんな所かわからない、だけど」
風船猫・タマ「(ミヨさん、元気でね)」
ナレーション「天国はきっと綺麗な場所だろうとタマは信じている。そして、ミヨもネミミ先生も幸せに暮らしている、そうでありたいと願っていた。」


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