第3章・第10話「秘伝の薬」


効果音「ビョオオオオ…」
ナレーション「全身ずぶぬれの変わり果てた姿でフレイヤは倒れていた。体は冷え切って意識もない。十文字は慌ててフレイヤを抱き上げて部屋にいれる。」
風船猫・タマ「いったい何があったの?!フレイヤ!」
十文字「意識が衰弱しています!今すぐ、お湯を沸かしてください!!」
透明猫・レス「これは相当弱ってるな」
ナレーション「レスとタマはフレイヤの体をタオルで拭く。全身が冷たくなって吐く息も弱々しくなってるフレイヤはこのままだと危険だ。サンダーがお湯を沸かしてる間、タマはフレイヤに呼びかけた。」
風船猫・タマ「フレイヤ!目を開けて!!」
ギン(十文字の元上司)「いかん。このままでは…十文字あれをもってこい!」
透明猫・レス「(どうしてフレイヤはこんな姿で…)」
十文字「アレですか?アレは強烈な薬だから使用禁止にしたはずでは。」
雷猫・サンダー「アレ…って、俺が子供の時に飲まされた『アレ』か?(嫌そうな顔をして口に手をあてる)」


風船猫・タマ「アレってなんだろうね、レス」
ナレーション「どうもこの中で会話についていけないタマとレスだったが、レスは『アレ』がなんなのか大体は判った。」
ギン(十文字の元上司)「アレを飲んだら一発で意識回復だろう。雷猫一族に伝わる古くからの薬だ。」
透明猫・レス「あの薬を飲んだらタマ、お前も忘れられないよ(ニヤリと笑う)」
ナレーション「十文字は例の『アレ』を持ってくるために納屋の方に向かった。10分後、十文字が戻ってきた。」

風船猫・タマ「これが『アレ』なの?なんか、仁丹の大きいのみたい…」
ナレーション「はたから見ると一口サイズのトリュフ(チョコ)ようにも見える。サンダーはその薬を見て思い切り顔をしかめていた。」
十文字「仁丹どころの騒ぎではありませんよ、この薬は」
ナレーション「十文字はにこりともしないで『アレ』を木槌でたたいてさらに細かくしていた。その傍でギンはニヤニヤと笑っている。」
効果音「ジョボボボボッ」
ナレーション「やかんにその薬を注ぐと凄まじく鼻をつく匂いがしてサンダーが真っ先に逃げた。タマもその臭いだけで気絶しそうだ。」
ギン(十文字の元上司)「飲ませるのは危険だからとりあえず風呂にいれて」


ナレーション「サンダーは離れにある風呂釜に火を起こしていた。この風呂は今どき珍しく薪を使っていた。」
十文字「風呂は熱めにお願いします!その方が薬の効果もあがりますから。」
雷猫・サンダー「ええ、ええ、分かっていますよ…」
ナレーション「サンダーは十文字の言葉に対して露骨に不快な表情をした。しばらくして風呂がいい塩梅になると、向こうからタマとレスがフレイヤを抱えてやってきた。」

ギン(十文字の元上司)「遠慮はいらんぞ、思い切って風呂の中に投げ込め。」
風船猫・タマ「そんなことしたらフレイヤが死んじゃうよ!」
ギン(十文字の元上司)「それぐらいで死にはせん!現にわしらはこうやってぴんぴんしておる!」
ナレーション「フレイヤは炎猫ということで、火山のマグマでも平気で浸かっていられるほど熱さには強い。熱さよりも『アレ』の臭いが心配なタマだった…。」
風船猫・タマ「くっさ〜い…」
ナレーション「かき混ぜると匂いが悪化する『アレ』にフレイヤを投げ込んだ。」
効果音「バシャャャン(投げ込まれるフレイヤ)」


ナレーション「緑色の液体だったそれはフレイヤが入ったことで赤や青、さまざまな色に変化する。薬品特有の臭いというよりも例えようがないぐらい鼻につく臭いだからこの臭いだけでソレイユも倒せるんじゃないかとタマは思った。」
透明猫・レス「それは無理な話だな。」
風船猫・タマ「ナレーションで僕の考え読まないでよ!」
炎猫・フレイヤ「…んっ…(少しだけ目を開ける)」
ナレーション「あまりの臭さに苦しくなってフレイヤは意識を取り戻すが意識を取り戻した第一声がこの臭いの感想だった。」
炎猫・フレイヤ「な…なんですかこの臭いは!!くさっ…臭いー!!!」
ナレーション「最後にはピンク色の液体になっていた風呂の中でフレイヤは必死にもがいていた。事情を知らない人が今のフレイヤを見れば不幸だとしかいいようがない。」

ギン(十文字の元上司)「これは雷猫一族の薬師が作った『雷撃の一発』という珍しい薬だ。もっとも今では強烈すぎるから誰も使用はしないが…」
十文字「私が病に倒れた時にギンさんが飲ませてくれました」
炎猫・フレイヤ「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ…!」
透明猫・レス「タマ、入ってみるか?」
風船猫・タマ「い、いいよっ!」
ナレーション「フレイヤは再び薄れ行く意識の中で思った。その臭いで昇天してしまうのではないかと。」


雷猫・サンダー「驚かせて悪かったな、フレイヤ。」
炎猫・フレイヤ「あああ、もう、もう少しで三途の川を渡るところでしたよ…」
ナレーション「タマたちは仏像のある部屋に居た。正気に戻ったフレイヤは神妙な顔で正座していた。」
炎猫・フレイヤ「ソレイユの事で話があります。ケインがソレイユに関わってから連絡が途絶えました。」
一同「なんだって!!」


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