第2章・第8話「這い上がれ!」

効果音「ギリギリギリギリ!」
ナレーション「ヴァンパイヤは鋭い牙で人志の首に食らい付いていた。それは、深く首根っこに食い込み、そこからは一筋の血が流れていた。」
悪魔・ルビ「ひとしーーっ!!」
ナレーション「ルビの叫び声が耳元でする、頭の中がだんだん真っ白になる、意識が確実に遠のいてた。」
天地の戦士「(…痛みがない…なんでだろ…逃げようとしているのに体が動かない…)」
ナレーション「薄れ行く意識の中、人志は思った。これが人が死ぬ前に見る走馬灯ってやつか…。人志は不思議と恐怖を感じなかった。」
天使・エル「それは『思い出が走馬灯のように駆け巡る』でしょう!」
天地の戦士「(エル…お前はいつもおせっかいだな…お前はいつもそうだ、俺のいい間違いを突っ込んでいた…)」
悪魔・ルビ「しっかりしろ!ひとし!」
天地の戦士「(どうしたんだ、ルビ、何で泣いてるんだ…いつも、からかっていた癖に…)」


間 人志「エーン、エーン…」
ナレーション「気が付くと人志は、6歳の頃に戻っていた。ちょうど間の家の養子になった年だった。」
天地の戦士「(俺は小さい頃、女の子みたいだってよくからかわれていた…いつも泣いてうちに帰ってきてた…)」
間 杏子(人志の母)「人志?どうしたの?」
ナレーション「顔をくしゃくしゃにして泣いている人志に驚いた母は、すぐさま人志の傍に駆け寄った。」
間 杏子(人志の母)「人志、ほら、涙を拭いて…」
ナレーション「母はすぐさまハンカチを出し、人志の顔を拭いた。母はハンカチを汚れることも厭わずやさしく拭いてくれた。」
間 人志「お母さん…皆が僕のことを女の子だっていうんだよ…『お前は泣き虫だから、女みたい』って…」
ナレーション「人志はしゃっくりをあげながら涙をこらえようとしていた。でも、止まらない。泣くまいとすればするほど涙が溢れてきた。」
天地の戦士「…」


間 杏子(人志の母)「人志、人間は泣くことが出来るから人間なのよ…」
間 人志「お母さん…」
間 杏子(人志の母)「男の子が泣いたら駄目って誰が決めたの?涙が出るのは人の痛みが分かる証拠よ…」
天地の戦士「(かあさん…)」
間 杏子(人志の母)「泣くことが出来なくなったら、人の辛さや悲しみが分からなくなってしまう…あなたの名前に人が付いているのは人の痛みが分かる人間になって欲しいからって、星野先生が付けてくれたのよ…」
効果音「ヴォン、ヴォン、ヴォン…」
天地の戦士「うわああああ!!」
ナレーション「人志は激しい頭痛で頭を抱えた。そして、目の前が真っ暗になり、耳に風が吹き込んでいた。」
効果音「ビョオオオオ…ゴーン…」
天地の戦士「こ、ここは…?」


ナレーション「人志の目の前には幼少時代過ごした孤児院「あすなろ」があった。古い建物が静まり返った場所に静かに立っていた。」
間 人志「クスン…クスン…」
天地の戦士「(…俺が間の家の養子になってから、一度だけここが恋しくなって家出したことがあった…その時、父さんはたった一人で…)」
間 茂美(人志の父)「人志!ここにいたのか…探したぞ…」
間 人志「…」
間 茂美(人志の父)「無事でよかった…さあ、帰ろう…」
天地の戦士「(父さんは決して俺を叱らなかった…それなのに…俺は…)」


悪魔・ルビ「目を覚ませ!ひとし!」
天使・エル「ひとしさん!」
ナレーション「変身用腕時計の中から2人は必死に人志に呼びかけていた。だが、人志はピクリともしなかった。」
ネオ・A・D「ふふふふ、あっけなかったね…私が手を下す必要はなかろう…」
エルとルビ「…!」
ナレーション「2人の声が聞こえているのかいないのか分からないが、ぐったりした人志を見てほくそえんでいた。そのときだった。ヴァンパイアに変えられた女性が突然苦しみだした。」
女A「ぐっ…うわああああ!!」

天地の戦士「うりゃあああああ!!」
ナレーション「ネオの炎をにらみつけたまま、人志はヴァンパイアを突き飛ばした。さっきまでうなだれていた人志は真正面を見据えていた。」
天地の戦士「待たせたな…2人とも…悪いな…俺はまだ倒れるわけには行かないんだ!ネオ!」
天使・エル「ひとしさん!」
天地の戦士「さあ、反撃開始だ!」


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