第2章・第6話「人志、大いに怒る」

ナレーション「人志は変身用時計のエナジー反応を頼りに目的地までたどり着いた。が、人志は口の大きな女性にがみがみと叱られていた。」
女A「ちょっとあんた!人の顔を見ていきなり叫んで!何様なの?」
天地の戦士「へ…だって、そんな大きな口でしかも真っ赤な口紅を塗りたくって…化粧厚いんじゃないの?」
ナレーション「人志は耳たぶの近くまで口の端があがった顔の女を見て、むっとした。口裂け女は人志の言葉に憤慨した。」
女A「失礼ね!こう見えても、私はな泣く子も黙る、『ヴァンパイヤ』よ!」
天地の戦士「ヴァ…ヴァンパイヤ?何だ?それ?」
ナレーション「人志は助けを求めるように時計の中のエルたちに声を掛けた。」

天使・エル「ヴァンパイヤは、ぶっちゃけて言えば、女の人の『吸血鬼』ですよ…」
悪魔・ルビ「言っとくけど、野球の審判をする人じゃないからな、ひとし」
天地の戦士「それは『アンパイヤ』だろう!」
女A「さっきから何をこそこそしてるの?あなたも本当に失礼な人ね!あなたいったい誰なの?ちゃんと名乗りなさいよ!」


天地の戦士「へ?名前?」
ナレーション「人志はヴァンパイヤの言葉に目が点になった。ヴァンパイアは人志の予想外の言葉にあっけに取られた。」
女A「名前って、スーパーマンとかバットマンとかあるでしょう?あなたヒーローかなんかじゃないの?」
天地の戦士「名前って…まだ考えてないよ…さっき変身したばかりだし…」
天使・エル「ひとしさん!」

ナレーション「人志の右耳から天使・エルの怒鳴り声が聞こえた。何か言おうとする人志に機関銃のごとく、エルが責め始めた。」
天使・エル「あなたって人は!この非常事態に何を言ってんですか?そもそも、ヒーローとは…」
悪魔・ルビ「何、かてぇこと言ってんだよ…お前はオウムのようにピーチク、パーチクとうるさいんだから…」
天使・エル「ピーチク、パーチクはひばりでしょう!」
ナレーション「延々と続く2人の痴話げんかを人志は黙って聞いていた。なぜ、この2人はこんなに言い合いをするのか、なぜ、俺がここにいるのか…そう考えるうちに人志はだんだん2人に対して怒りがわいてきた。」


天地の戦士「だまれーーーーっ!!!!」
エルとルビ「…」
ナレーション「人志は今は夜中であることを忘れ、絶叫した。突然のことにエルとルビは黙り込んでしまった。」
天地の戦士「さっきから黙っていれば、調子に乗りやがって…お前らこそ、今は何をするべきか分かっていないくせに!」
エルとルビ「…」
天地の戦士「そもそも、お前らがけんかした弾みで俺が生まれたんだろ…俺は小さい頃、『あすなろ』の前に捨てられて育てられた…6歳の頃、間の家に引き取られた…俺は生まれてからずっと疑問すら感じたことなかった…だがな…」
ナレーション「人志はだんだん感情が高ぶり、声も次第に大きくなってきた。人志は人前で声を荒げることはほとんどなかった。むしろ、幼い頃、無口すぎてと心配されたくらいだった。」
天地の戦士「俺に親がいないことより、お前らが『生みの親』だったことがよほどショックだったぜ!こんなこと知らなきゃよかった!」
エルとルビ「…」
天地の戦士「俺にいったいどうしろと?俺が戦わなければいけないのは元はといえばお前らのせいだろ!?戦わなければ俺は妖怪にされるかもしれない、人間界がなくなるかもしれない、こんなこといきなり突きつけられて冷静でいられるか、普通?」


悪魔・ルビ「…ひとし…」
天地の戦士「俺にはお前らしか頼れるやつはいないんだよ…頼むから…お願いだ…」
ナレーション「次の言葉が続かない。涙が溢れてきた。なぜ、涙が溢れるのかわからない。人間だと思っていたのに人間でなかった…人志の頭の中はそれがぐるぐるとまわり、支配していた。」
悪魔・ルビ「…ひとし…俺達が悪かった…お前の気持ちを考えずにけんかばかりして、本当にすまなかった…」
天使・エル「ひとしさん、申し訳ありません…ひとしさんがそういいたくなるのも当然ですね…」
ナレーション「人志の剣幕にうなだれていた2人が謝った。人志は何も言わなかった。ただ、2人を責めることはできなかった。」

天地の戦士「…」
悪魔・ルビ「お前の気持ちは良く分かった…ひとし、お前が大暴れできるように一肌脱いでやろうじゃないか…なぁ、エル…」
天使・エル「ええ、ひとしさん、あなたは天国と地獄の間で生まれた戦士です…間 人志…いい名前ではありませんか…あなたは天と地の間(はざま)に生まれた戦士…」
ナレーション「人志はエルの言葉を反すうした。それを聞いて、人志ははっと思いついた。」
天地の戦士「天と地の間に生まれた戦士…エル、ルビ!いい名前を思いついたぞ、俺は『天地の戦士』だ!」


効果音「ゴォォォォ…ボワッ!」
一同「!!」
謎の男「フフフフフ…名前は聞かせてもらったよ…『天地の戦士』…」
天地の戦士「お、お前は?」
ナレーション「紅蓮の炎とともに男の声が人志の耳に飛び込んできた。この声の持ち主はいったい何者なのか?」


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