第1章・第3話「二人の王」

間 人志「ただいま…」
ナレーション「人志は憂鬱そうな表情で玄関のドアを開けた。人志の声に母がすぐ駆けつけた。」
間 杏子(人志の母)「おかえり…よかった、無事だったんだね…」
間 人志「何だよ、母さん、大げさだな」
間 杏子(人志の母)「大げさじゃないわよ。親が子供の心配するの当然でしょう…それにね、ニュースで変な事件があったって…」
間 人志「変な事件?」
間 杏子(人志の母)「今、テレビでやってるわよ。見て御覧なさい。」


ナレーション「人志は居間にあるTVを見てみた。TVには深刻そうな表情の記者が事件現場と思われる場所にいた。」
記者A「今日の午後3時ごろ、××市××町の路地裏で、△町の○○巡査長が何者かに切りつけられるという事件が起こりました。○○巡査長は背中から臀部にかけて日本刀のようなもので切り付けられ、3ヶ月の重傷です…警察では○○巡査長から詳しい事情を聞くと共に、犯人の割り出しに全力を挙げております。」
間 人志「3時ごろって…俺達がちょうど下校していた時間帯じゃないか?」
天使・エル「××町ってここではありませんか?」
悪魔・ルビ「嫌な事件だぜ…」


ナレーション「人志ら3人が難しそうな顔で考え込んでいると、母の杏子がいぶかしげに人志を覗き込んだ。」
間 杏子(人志の母)「人志…何か言った?」
間 人志「いや!なんでもない!」
ナレーション「人志はあわてて2階の自分の部屋に向かった。そして、ニュースの続きを見るために自分の部屋のTVをつけた。」


アナウンサー「なお、同様の事件は××町で最近1ヶ月で10件も起きており、警察では同一犯の可能性があると見て捜査に全力をあげています…。」
間 人志「どうして同じ町で…」
ナレーション「人志がニュースをぼんやり見ていると、人志の背後から気配がした。最初はルビかエルかと思ったが違う気配だった。人志は一瞬、たじろいだ。」
間 人志「(…ま、まさか…通り魔の犯人がここへ…は、は、まさかな…)」
ナレーション「人志が恐る恐る後ろを振り向いた瞬間、彼の絹を裂くような悲鳴が2階にこだました。」
間 人志「ぎゃああああああああ!!」


天界王「ああ!!びっくりしたではないか!大きな声を出さないでくれたまえ!」
間 人志「それはこっちの台詞です!あなた達こそ、黙って人のうちに上がりこんで誰なんですか!?」
閻魔大王「…」
間 人志「…どうしたんですか?おじさん?」
天界王「君、私達の姿が見えるのかい?」
間 人志「見えるも何も…俺はこいつらを毎日見てますから…それよりもあなた達はいったい誰なんですか?」
ナレーション「人志が指差す方向にはいつの間にかエルとルビが立っていた。天界王と閻魔大王は人志の顔をまじまじと見ていたが、閻魔大王は再び鼻息を荒くして興奮した。」
閻魔大王「天界王…間違いない…」
天界王「ええ、兄さん…われわれの姿が見えるのが何よりの証拠です」


間 人志「…さっきから何を話してんですか?」
ナレーション「人志が胡散臭そうな表情で2人の王を見ていると、誰かものすごい勢いで階段を駆け上る音が聞こえてきた。杏子が人志の悲鳴を聞きつけて2階にあわててきたのだ。」
間 杏子(人志の母)「人志!何かあったの?ものすごい悲鳴だったわよ!」
間 人志「ああ、母さん…部屋にゴキブリが出たんだよ…」
間 杏子(人志の母)「何だ…てっきり、通り魔が人志の部屋に入ったのかと…」
ナレーション「杏子がようやくほっとした表情で1階に降りていった。人志は大きなため息をついた。」
天界王「君のお母さんは私達のこと、気がつかなかったようだね」
間 人志「当たり前ですよ…天使と悪魔が見えるといったら、母さん失神しちゃいますよ…」


ナレーション「彼らのやり取りを黙ってみていた閻魔大王は神妙な顔つきで懐から何か出した。」
閻魔大王「少年よ、申し訳ない、自己紹介が遅れてしまった、私はこういうものだ…」
ナレーション「閻魔大王が出したのは自分の名刺だった。人志はそれを黙って受け取った。」
間 人志「あ、これはどうも…え、えんま…閻魔大王??」
ナレーション「人志は名刺の『閻魔大王』の文字を見て急に後ずさりした。閻魔大王と天界王はあっけに取られた。」
閻魔大王「どうしたんだ?少年よ?」


間 人志「え、閻魔大王さま…舌を抜くんですか…?俺、確かにうそをついたこともありますけど…舌を抜くのだけは勘弁してください!」
ナレーション「人志は腰抜け状態で情けない声を上げた。そんな人志を見て、天界王は優しく声を掛けた。」
天界王「兄さん…脅かしてどうするんですか…違うよ、君を怖がらせるようなことはしない…」
閻魔大王「う、うむっ、わし達がここに来たのは君に頼みがあってきたんだ。少年よ、遅くなったが名前を聞かせて欲しい…。」
間 人志「間…人志、姓は間と書いて『はざま』、人志は人間の人に志です…」
天界王「人志くんか、いい名前だ…」
間 人志「ところで俺に頼みとはなんですか?」
天界王「君もさっきニュースを見ていたから知っていると思うが、最近、この町の周辺で通り魔事件が多発している。」
ナレーション「天界王は一瞬、間を置いた。そして、ゆっくりと人志の方を向いて言った。」
天界王「実はあれは『転生人間(リボーン)』が妖怪になったものの仕業なのだ…」
間 人志「な、何ですか?リボーンって…??リボンのことじゃないですよねえ…」


ナレーション「人志は鳩が豆鉄砲を食らったような表情をした。人志の表情を見て、天界王の後ろにいた閻魔大王が前に出た。」
閻魔大王「リボーンとは転生した人間のことだよ…われわれの間では自分の前世だったものと交流できたり、前世の時に持っていた能力を使える人間のことをさすんじゃ…。」
間 人志「へえ、転生した人間…ですか」
閻魔大王「転生人間は前世は人間とは限らないんじゃ…妖怪だったり魔法使いだったりさまざまなんだが、あるやつらが転生人間を利用して、今回の事件を起こしているようなんじゃ…」
天界王「転生人間はあらゆる潜在能力を秘めている。だから、そいつらのたくらみを阻止するためにわしらも転生人間を探し、味方につけることにしたのだよ」
間 人志「へえ、そうですか…えっ?!」
ナレーション「人志は2人の王の言うことを最初は他人事のように聞いていた。だが、きいているうちに何かいやな予感がしてきた。変な胸騒ぎがしてきた。」


間 人志「天界王さま…ちょっとお伺いしたいんですが…」
天界王「何だね、人志くん?」
間 人志「まさか…『転生人間』って…俺のことじゃ…ないでしょうね…?」
ナレーション「人志は恐る恐る聞いた。次の瞬間、人志の不安は確信に変わった。」
閻魔大王「人志くん…まことに言いにくいんじゃが…君が驚くと思っていつ切り出そうか迷っていたんだが…どうやら感づかれてしまったようだね…」
間 人志「え…」
天界王「人志くん、君が見える天使の悪魔の2人、君はその2人の生まれ変わりである『転生人間』だ!!」
間 人志「ええええええええええ〜〜〜〜〜っ!!」


戻る

本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース