第1章・第2話「謎の事件」

効果音「グォングォン…」
謎の男「(暗い部屋の中でモニターを見ている)」
男の部下1「…様(名前がよく聞き取れない)?何を見ていらっしゃるのですか?」
ナレーション「部下らしき男から何某と呼ばれたその男はモニターから目を離し、部下の男のほうを見た。」
謎の男「どうやら、わしのたくらみを誰かに感づかれたようだ…」
男の部下1「だ、誰ですか?それは?」
謎の男「…天界王…そして閻魔大王…あいつらの情報網を侮ってはいけない…だか、わしの野望はこれしきのことで崩れはしない…」
ナレーション「その男は手を大きく広げた。するとその手から大きな炎が出現した。」
男の部下1「…様、それはいったい?」
謎の男「この炎は人間界を混乱に陥れる…人間の悪しき心をえぐりだし、そして、人間を魔物に変える…ハハハハ…!」


ナレーション「その頃、人志は担任の鬼塚先生に職員室に呼ばれていた。人志は肩を落として職員室に向かっていた。」
間 人志「(何だろう…思い当たることがありすぎて…ああ、いきたくないなぁ…)」
ナレーション「人志は恐る恐る職員室のドアを開けた。すると若い男性教師が人志に声を掛けた。」
鬼塚 博(人志の担任)「間…呼び出して悪いな…実はな…」
間 人志「な、何でしょうか?」
ナレーション「人志はおずおずと返事をした。鬼塚先生は人志の目の前に紙切れを出した。」
鬼塚 博(人志の担任)「これ、こないだの進路調査の紙だ。間、お前、就職を希望ってどういうことだ?」
間 人志「えっ?そ、それは…?」
ナレーション「人志は予想もしていなかった先生の言葉に戸惑った。」


鬼塚 博(人志の担任)「間、お前の気持ちはよくわかる。お前のご両親はお前とは血がつながっていない。間、気を使ってるんだろう…?」
間 人志「…」
ナレーション「人志が幼少時代に施設で育ったことはクラスのみんなは知っている。小学校に入って、それが原因でいじめられたこともあったが、当時の担任の先生はとても理解してくれた。おかげで人志はいじめられることはなくなった。鬼塚先生も同様に人志のことを心配していた。」
間 人志「(俺のこと、ちょっと変わったやつだと思っているみたいだけど、クラスのみんなはそれについては別に気にもしていない。父さんや母さんのことも決して嫌いではない。そんなんじゃないんだけど…)」
鬼塚 博(人志の担任)「ご両親のこと、嫌いなのか…?」
間 人志「そんなことありません…ただ、俺、何をしていいのかわからないんです…俺、勉強も運動も特に秀でたものもないし…父さんや母さんはお金のことは心配するなといってくれます。でも、大学に行く目標というか…自分に何が向いてるのかわからないんです。」

ナレーション「人志はどう答えていいのかわからなかった。もともと口下手な彼はあまりしゃべるの得意ではない。しかし、鬼塚先生はこう答えた。」

鬼塚 博(人志の担任)「お前は絵が得意だろ…美術部のお前が石膏のデッサンをするのをこっそりと見ていたが、お前は才能があると思う…」
間 人志「は、はあ…」
鬼塚 博(人志の担任)「今の時代、大学へ行ったからって希望通りの就職ができるとも限らない、だが、高卒で就職を探すのはもっと難しい。できるできないかでなくやりたいことを探せよ、間…進路って言ったってすぐに見つかるわけでもない、早急に決めてしまうのはもったいないではないか」


間 人志「(できることでなくてやりたいことか…)」
ナレーション「人志は先生の言葉をかみ締めながら、帰宅していた。そういえば、進路については踏み込んで考えたことはなかった。今の高校もたまたま家から近かったから決めたようなものだった。」
悪魔・ルビ「ひとし?どうしたんだ?」
ナレーション「ルビは人志の顔の前に手を振るしぐさをした。だが、人志は黙り込んだままだった。」
天使・エル「先生に叱られたんでしょうか…」


効果音「ヒュウウウウウ…」
ナレーション「その頃、空の上で何者かが町の様子を見ていた。一人は銀髪、もう一人は茶髪に立派な金の冠をかぶっていた。彼らは天国の王・天界王と地獄の王・閻魔大王。しかも彼らは双子であった。」
天界王「兄さん…閻魔大王兄さん…」
閻魔大王「天界王…得体の知れぬエナジー反応があったのはこの辺だな…」
天界王「ええ…これは小耳に挟んだことですが、人間界で何者かが人間を襲ったそうですよ…」
閻魔大王「まさか、やつらが?」
天界王「襲われた人間はつめのようなもので怪我を負ったそうです…考えたくはありませんが、やつらの仕業としか思えません…」
閻魔大王「こちらも早く手を打たねば…やつらも『転生人間(リボーン)』を利用しているならばこちらも『転生人間』を味方につける!一刻も早く…ん…?」
ナレーション「閻魔大王が空から町を見下ろしたその時だった、人志たちが話をしているのが彼の目に飛び込んできた。」


悪魔・ルビ「ひとし、そんなに深刻に考えるなよ、まだ若いんだし、人生今から決めていたら終わりだぞ」
天使・エル「もっと、真剣に考えてくださいよ、進学は今から考えないと遅いくらいですよ」
悪魔・ルビ「エル…お前、それだから融通の利かないやつだって言われるんだぞ…そんなこと言うからひとしが消極的になるんだぞ」
天使・エル「今は就職難の時代ですよ、大卒だからって就職できるとも限らないんですよ!」
間 人志「2人とも静かにしてくれないか…今は一人で考えたいんだよ…お願いだ…(早足でその場を去る)」
エルとルビ「あっ!(人志の後を追いかける)」
閻魔大王「(人志らの様子を見て、呆然としている)」
天界王「どうしたんですか…兄さん?」

閻魔大王「…」
天界王「兄さん…?」
閻魔大王「(カッと目を見開く)なんてことだ!あの少年は天使と悪魔と会話している!」
天界王「それが…何か…?!」
閻魔大王「バカモン!普通の人間はわれわれのような異世界の者は見えないはずだ!それなのにあの少年はごく普通に彼らと話をしている!これはまさに『転生人間』の特殊能力!」

天界王「そ、そうなんですか?」
ナレーション「弟の天界王は少しおっとりしているためか兄の閻魔大王よりもワンテンポ遅れて反応した。閻魔大王は鼻息も荒く、興奮している様子である。」
閻魔大王「天界王!あの少年達のあとを追うぞ!」
天界王「は、ハイッ!!」


ナレーション「一方、人志たちを追い始めた2人の王の知らぬところで何かが起ころうとしていた…。」
警官「(路地裏を歩いている。鼻歌を歌ってる。)フンフフーン…ん?」
ナレーション「警官が狭い路地裏の奥でうずくまっている一人の男性を見つけた。」
警官「どうしたんですか…?おなかでも痛いんですか?」
男A「(黙ったまま)」
警官「大丈夫ですか…病院にいったほうがいいんじゃ…」
ナレーション「警官がその男性の体に触ろうとしたその時だった。彼は突然、犬のような唸り声を上げたのだ。」
男A「グルルルルルル…」
警官「えっ??」

ナレーション「後ずさりをした警官の目にとんでもない光景が飛び込んできた…その男性は人間ではなく獣のような顔をしていたのだ。」
警察官「ぎゃあああああああ!!」
ナレーション「断末魔の叫びが路地裏にこだました。これらの出来事が後に人志に大きくかかわろうとは彼自身も知る由がなかった。」


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