序章「転生」

ナレーション「これは今から20年ほど前の話である。ある日、ある場所で2人の男が討論していた。正確に言うとこの2人は人間ではなかった…。」


効果音「ゴオオオオオオ…(風の音)」
ナレーション「2人の男とは1人は天使、もう1人は悪魔であった。その2人はある事について熱く語っていた。」
天使・エル「じゃあ、あなたは人間界は滅びた方がいいというのですか?」
ナレーション「天使の方はエルという名前である。一方の悪魔はルビという名前である。ルビはエルの話をめんどくさそうに聞いていた。」
悪魔・ルビ「ああ、ろくでもねぇ人間ばかりになっちまった人間界はいっぺん滅びた方がいいんだよ。そうすれば人間界も少しはましになるだろうよ。」
天使・エル「あなたは自分本位でしかものを考えないんですか!?」
ナレーション「この2人の会話は日常茶飯事だった。融通の利かないエルが皮肉屋のルビの言うことを真に受けて怒るという繰り返しだった。いつもなら次第に収まるはずだった。だが、このときはさすがのエルも怒りが収まらなくなっていた。」
天使・エル「あなたのようないい加減な人がいるから、人間界もだめになるんですよ!天国、地獄、人間界、この3つのバランスが保ってこその秩序でしょう!!」
悪魔・ルビ「…なんだって?それは聞き捨てならないな??」
ナレーション「普段はかなり冷めているルビがすっくと立ち上がってエルを睨み付けた。彼はエルのように熱くなることは殆どなかったが、よほどカチンときたらしい。」
悪魔・ルビ「エル、お前のような四角四面の考え方しかできないやつに言われたくないな!」
天使・エル「なんですって!」
ナレーション「だんだん激しいやり取りとなり、ついにもみ合いの喧嘩となった。このとき、これから起こることを2人はまったく知る由もなかった…。」


効果音「ゴロゴロゴロゴロ…(雷鳴)」
ナレーション「雲行きはだんだん怪しくなってきた。彼らはいまだに気がついてなかった。そのときだった。雲間から鋭い稲光が2人に向かって降りてきたのだ。」
効果音「ピカッ!ドォーーーーーン!!」
エルとルビ「ウワーーーーーッ」
ナレーション「落雷と2人の絶叫が同時に起こった。稲光が消えたとき2人の姿は消えていた…。」


効果音「ザァァァァ…(雨の音)」
ナレーション「ここは人間界。さっきまで晴天だったのに、急激に天気が変わりどしゃぶりとなった。」
星野 輝子「あら…さっきまではお天道様が出ていたのに…大変、洗濯物を取り込まなくては…」
ナレーション「彼女の名前は星野輝子。孤児院「あすなろ」の院長である。彼女は父の代から続いているこの施設を1人で経営していた。」
星野 輝子「まあ、雷までなっているわ…まるでお空が泣いているようね」


ナレーション「輝子が洗濯物を干してある庭まで行ったその時だった。雨の音に交じって何か別の音、いや、生き物の声がしているのが聞こえた。」
星野 輝子「…猫かしら…?(雨の音に耳を澄ませる)」
効果音「ザァァァァ…オギャーオギャー…ザァァァァ…」
星野 輝子「!(庭に飛び出す)」
ナレーション「輝子は雨の中を声のある方へ向かって走り出した。彼女が施設の門まで向かうとかごの中に1人の赤ん坊が寝かされていた。」


星野 輝子「まあ…ぬれてかわいそうに…今、中に入れるからね…」
ナレーション「輝子は布にくるまれた赤ん坊を抱えて、急いで施設の方に向かった。この赤ん坊は身分を証明するものは何も身に着けておらず、赤ん坊の名前は「人志」とつけられた。」
星野 輝子「本当にどこから来たのかしら…人間の「人」に志と書いて「ひとし」と呼びましょう…ひとしちゃん、人としてどんな困難にもめげない強い意志を持った強い子に育ちますように、そして、人のことを思いやることができる優しい心の持ち主になりますように…」
ナレーション「輝子は人志に語りかけるように名前の由来を話した。するとさっきまで泣いていた人志がキャッキャッと笑ったのだ。」
星野 輝子「まあ、ひとしちゃん、名前気に入ってくれたのね…そうだわ、この子は神様が授けてくれたのよ…私は夫に先立たれて、自分の子供もいない、だから、父の代から続いたこの施設を受け継いだ…今までたくさんの子供を見てきたけどこんな不思議な子は初めてだわ…」
ナレーション「この赤ん坊自身がひとつの宿命を背負って戦うこと、そして、自分の出生の秘密を知るのはそれから10数年後のことである。」


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